【横田選手の陸上競技通信】栄養管理の“都市伝説”、一流アスリートの本音とは? (2012.2.17)
現在ロサンゼルス・サンタモニカトラッククラブで、練習中の横田選手。
“侍ハードラー”為末選手との食事中の一コマから、
栄養に関する本音を語っています!
「もっと食事に気を使うべきなんだろうけど…」と
悩んでいる方の、ヒントになるのでは?
●横田 真人 選手 (富士通)
世界陸上代表、男子 800m 日本記録保持者(1'46"16)
『みなさんこんにちは。
LA合宿も一ヶ月が過ぎ、チームメイトとも仲良くなり、良い練習ができています。
ロスで活躍する日本人との新しい出会いもあり、とても楽しいです。
そのなかで、先日、為末大選手とごはんを食べていたときのことをお伝えします。
初対面の方に自分がアスリートだと言うと、
「食事制限とかされているんですか?」
「どんな食べ物を食べているんですか?」など、
栄養に関する質問を必ずされますが、
これは“都市伝説”のようなものだというのが、為末選手と僕の共通理解です。
アスリートはもちろん食事に気をつかっています。
しかし、みなさんが思っているほど食事に気をつかってはいません。
もちろんすごい気を遣っているアスリートもいますが、
とても稀だと思います。
僕はこういった質問をされたときは
「自分のできる範囲でやっています」と答えています。
栄養学的に突き詰めると、
やらなければいけないことはたくさんあります。
何を食べるか、
どういった順番で食べるか、
いつ食べるか、
補助食品はどうするか、など…。
軽く考えるだけでもこれだけのものを挙げられます。
これらを細かく突き詰めていくと、はっきり言ってキリがないですし、
無限にやらなければいけないことがあります。
パーフェクトが限りなくないに等しいのです。
栄養を突き詰められる選手、これらがストレスにならない選手は、
やった方がいいと思います。
食事に気をつければ、必ず体は変わります。
しかし、多くのアスリートにとってこれはストレスです。
食事がストレスになるとどうなるか?
余計食べられなくなります。
パフォーマンスがあがらなくなります。
僕も経験があります。
去年の世界選手権のとき、
あれをしないといけない、これをしないといけない。
やることが多すぎて、逆に食事ができなくなりました。
栄養学的にはやった方が良いのは間違いがないことです。
ただそこに「可能であれば」という条件がつきます。
また、栄養がパーフェクトな状態が、その選手にとってパーフェクトな状態なのかというと
また別の問題が生じてきます。
では、どうすればいいのかというと、
「やらなければいけないこと」よりも
「やりたいこと」を重視して栄養に取り組むといいと思います。
例えば
「貧血にならないために、鉄分を摂取する」のではなく
「Hb(ヘモグロビン)の数値を上げて速く走りたいから、鉄分を摂取する」というような考え方です。
こういった微妙なマインドの変化でも、
ストレスになるかならないかは大きく変わってきます。
例えば、ウィグライプロも、
「飲まないと疲れる」ではなく、
「飲めば元気になる」といった考え方で飲んで欲しいと思います。
今回は、栄養に取り組む上での精神的な話が中心になってしまいましたが、
僕のキャリアのなかでは、これが栄養に対するモチベーションの良いポジションです。
考え過ぎはいいことがないので、
みなさんも、いいポジションをぜひ見つけてみてください。
横田選手や、女子3000m障害のパイオニア 早狩 実紀 選手による、
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